【軽井沢・三井三郎助別荘】その歴史的価値により保存運動が進む

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日本における別荘地の草分け的存在である軽井沢。当然のごとく、そこにはさまざまな物語を身にまとった魅力的な建物が数多く残されています。今回は、その中でも特に歴史的価値の高い「三井三郎助別荘」をご紹介したいと思います。現在、保存運動が進められている、未来に残すべき別荘の一つです。

三井三郎助別荘
敷地内では既に造成工事が開始されています。 2019年9月撮影

NHKの朝の連続ドラマ「朝が来た」の広岡浅子も過ごした別荘

明治33年に建築された「三井三郎助別荘」は、旧三井財閥の三井三郎助が建てた洋館と和館の両方を採り入れた別荘です。この「洋館・和館別荘」はとても珍しく、歴史的・建築学的に見ても貴重な存在なのだそう。ちなみに軽井沢で現存する一番古い別荘は「八田別荘」(明治26年建築)ですが、「洋館・和館別荘」としては最古のものとなります。

三井三郎助は、三井家の一つである出水三井家(後の小石川三井家)の6代目当主・高益(たかます)の四女として生まれ、大同生命保険の創業にも尽力した女性実業家・広岡浅子の義理の甥。とはいっても年齢は1歳違いで、幼少期は姉弟同然に過ごしたといいます。浅子もこの別荘をしばしば利用したほか、元老であった西園寺公望やインドの詩人・タゴールも滞在したそうです。

外観は洋風。1階の張り出し部分の内部を洋風で仕上げているほか、1階の3部屋、2階の1部屋は和風で設えられています。水栓の洋式トイレや洋式洗面台、ガス灯など、当時の最先端の設備・仕様、さらには鹿鳴館風の応接室や籐椅子が置かれたサンルームなど、上流階級の別荘ライフが感じ取れる設計となっています。

このような歴史的価値の高い「三井三郎助別荘」ですが、将来的には取り壊されるかも知れない危機に直面しているのだそうです。この建物(敷地)がタックスヘイブン(租税回避地)にある法人の手に渡ったのがその理由。現在、保存運動が進められています。

まとめ

2019年8月28日には、住民有志でつくる軽井沢文化遺産保存会が、集めた署名と要望書を町長へ提出しました。町長も文化遺産としての価値は認識しているものの、「保存へのハードルは高い」と話されたそうです。

 

建物の譲渡について所有者の代理人との話し合いの場が持てないか打診する意向だそうですが、先は見えない状況なのだとか。保存への働きかけが実る日が、一日も早く訪れることを願わずにはいられません。

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