【軽井沢・ジャム】御三家「沢屋、中山、こばやし」の歴史を紐解く

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軽井沢のお土産と言えば「ジャム」が有名です。いま、とてもパンブームでパン好きの人が増えていますから、自分で買っても、貰ってもうれしいお土産ではないでしょうか。軽井沢ではジャムを取り扱うお店は多く、「ジャムの老舗」と言われる店もありますし、地元スーパーにもこだわりジャムが多数並びます。

定番の「イチゴ」に信州らしい「りんご」、変わり種では「薔薇」などもあり、軽井沢はジャム好きにはたまらない、いわば「ジャムの聖地」なのです。でも、なぜ軽井沢でジャムが普及したのでしょうか。その理由を知るキーワードは「宣教師」と「ブルーベリー」。今回は軽井沢とジャムの歴史を紐解いていきます。

宣教師たちが教えたジャム作り。それに答えた地元の人々

ショー胸像
宣教師であるアレクサンダー・クロフト・ショー

避暑地としての軽井沢の歴史を切り拓いたのは、宣教師であるアレクサンダー・クロフト・ショーであることは 【軽井沢・避暑地の歴史】宣教師のアレクサンダー・クロフト・ショーの功績 で詳しくお伝えしました。明治21年に大塚山(だいつかやま)に別荘を設けた彼は、宣教師仲間を中心に軽井沢の魅力を伝えます。その結果、多くの外国人が避暑で訪れるようになるのです。

来軽する外国人にとってはバカンスですから、長期にわたって滞在します。そしてリラックスしながら過ごすために、おのずと自国の習慣による衣食住を求めるようになるのです。

明治17年の碓井新道(現在の国道旧18号線)の開通によってさびれ始めていた中山道の宿場町軽井沢宿(現在の旧軽井沢銀座通り)の商店主たちや農民、職人たちは、西洋式の食料品や生活用品へのニーズに応えようとします。

フランスベーカリー
フランスベーカリー

旅館はホテル(万平ホテル)に変わり始め、外国人たちは地元住民にレタスやキャベツなどの西洋野菜の栽培方法や家具づくり(後の軽井沢彫り)を指導します。それと同時にパン(山屋、フランスベーカリーの誕生)やジャムの製法も伝授。こうして軽井沢のジャムの歴史が始まったのです。

自生の浅間ぶどうから、輸入、そして国産ブルーベリーに変化

軽井沢でつくられるジャムの中で一番人気なのが「ブルーベリージャム」。でも、地元住民や古くから軽井沢に足を運ぶ人に聞くと、「昔(40年ほど前)はブルーベリーなんか無くて、浅間ぶどう(クロマメノキの果実)のジャムだった」と言います。

そこで調べてみると、軽井沢ジャムの老舗「中山のジャム」の創業者、中山丈平さんに行きつきました。丈平さんは農園を営む傍ら、宣教師からジャムの製法を学んだ人物。新渡戸稲造とも親交が厚かった方です。彼がつくる野菜はとても評判が高く、あるとき一人の外国人から「ブルーベリージャムが食べたい」と言われたそう。そこで丈平さんは、浅間山麓の溶岩で覆われた土地に自生する浅間ぶどうを採取し、ジャムにしたのでした。

浅間山の北側にある溶岩で覆われた土地

これが大評判となります。以来、浅間ぶどうのジャムは軽井沢を代表する特産品となりました。しかし、昭和40年代に入るとジャム屋さんが増え、浅間ぶどうの採取が間に合わないほどに。そこで輸入したブルーベリーでジャムを作る店が徐々に増えていくのです。

昭和60年頃になると国産のブルーベリーが出回るようになり、軽井沢でも栽培が始まります。数少ない浅間ぶどうは貴重品となるだけでなく、国立公園内(浅間山)での採取が禁止になったことから、いまでは浅間ぶどうのジャムは、「幻のジャム」になりました。輸入品のクロマメノキの果実でつくられたジャムはあるようですが、昔を知る人は「あの味が忘れられない」と残念がります。

こだわりの製法が人気のヒミツ。ジャムの老舗御三家+Oneをご紹介

ではここで、軽井沢ジャムの御三家的存在のお店をご紹介しましょう。

軽井沢ジャム発祥の店「中山のジャム」/明治38年創業

中山農園を営んでいた中山丈平さんが、宣教師から直接ジャムの製法を学び、商品化したのが「中山のジャム」です。明治30年代前半に朝獲り野菜を毎日軽井沢に運んで人気を博し、明治38年に旧軽井沢に販売所を設置したのが始まりです。その後も、ジャムのほか、ジュース、ピクルス、クリームコーンなども製造し、アメリカ人、イギリス人はもちろん、ドイツ人やスイス人など、味や好みが違う国々の人たちからもたいそう愛されたそうです。

缶詰大手のデルモンテの技師から指導を仰ぐとき、「ほかの日本人のように偽物や混ぜ物をしたら教えないぞ」と言われたことを心に刻み、本場並みの品質を手作りしたそう。その思いは、いまでも「中山のジャム」に受け継がれています。

中山のジャム HP

ジャムの中山 アクセス

素材の良さを極限まで引き出す「ジャムこばやし」/昭和24年創業

「ジャムこばやし」は、昭和24年(1949年)に別荘客ならびに地元住民向けの青果店として創業しました。当時も軽井沢には多くの宣教師をはじめとする外国人が暮らしており、その中に一人の亡命ロシア人がいたそうです。

そのロシア人にジャムの製法を教えてもらった店主は、果物加工工場の協力を得ながら3者による試行錯誤を繰り返し、ようやく納得のいくジャムを完成させます。「ジャムこばやし」の誕生です。

「ジャムこばやし」の特徴は、果物の持ち味を最大限に引き出すこと。砂糖を煮ることにより、生のフルーツ以上のおいしさを引き出し、すっきりとした後味の良いジャムに仕上げています。

材料は、「果物」「砂糖」「フルーツペクチン」「レモン果汁」の4つが基本。糖度は47度前後です(黄金桃、白桃、いちじく、マンゴーなどは35度前後)。果物の自然な色を生かした鮮やかな色は、眺めているだけでも楽しくなってきます。

ジャムこばやし HP

ジャムこばやし アクセス

旬の国産生果実にこだわる「沢屋」/昭和27年創業

旧軽井沢テニスコート通りにある、旧軽井沢店

沢屋の創業は昭和27年(1952年)。旧軽井沢テニスコート通りに開いた小さな青果店が始まりです。外国人宣教師や大使館別荘の方々に新鮮な野菜や果物を納める中、「甘さ控えめのジャムが食べたい」という声を耳にします。そこで一念発起し、無添加・低糖度ジャムの手作りを始めるのです。

当時は甘いジャムが多い中、そのやさしい味わいは評判を呼び、いつしかジャム専門店に。ジャムの製法とともに宣教師から譲り受けた「ルバーブ」は、大人気商品の「ルバーブジャム」として多くの人を喜ばせ続けています。

もともと青果店であったことから、材料へのこだわりは相当なもの。使用する果実はそのままでも十分においしく食べられる新鮮な旬の国産生果実のみ。だから沢屋には冷蔵庫がないのだそうです。添加物は一切使用せず、果実と砂糖のみで手作りされるそれは、一度食べたら病みつきになる美味しさです。

沢屋 HP

沢屋 軽井沢町内全店舗 アクセス

軽井沢バイパス店

沢屋 軽井沢バイパス店
沢屋 軽井沢バイパス店

「それもジャムになるの?」というものまであるツルヤのジャム

ツルヤのジャム

別荘族から地元住民、そして観光客まで幅広く愛されるスーパー「ツルヤ」。店内には魅力あふれる商品が陳列されていますが、ツルヤにも「オリジナルジャム」が数多く用意されています。「いちご」「ブルーベリー」「ラズベリー」「巨峰」「りんごバター」「いちごミルク」「くるみバター」「ハニーナッツ」「栗バター」「安納芋バター」「黒ごま」「しょうが」などなど。「えっ!?しょうが???」と思わず目を疑った方もおられることでしょう。でも、これまた美味しいのです。ぜひ一度、ご賞味あれ。【ツルヤ軽井沢店】ツルヤで絶対に買うべきオリジナル商品10選!を参考にしてみてください。お土産選びには、ツルヤも欠かせませんよ。

ツルヤ軽井沢店 アクセス

まとめ

軽井沢にジャムが誕生し、根付いた歴史と理由がお分かりいただけたことでしょう。

  • 宣教師をはじめとする外国人が、自国の生活習慣を楽しむため、地元住民に製法を教えた
  • 外国人の要望に応え、ブルーベリーに代わる浅間ぶどうのジャムを作った
  • 浅間ぶどうのジャムは、いまや幻のジャム
  • こだわりの老舗からスーパーまで、軽井沢のジャムは歴史と進化を積み重ねている

ジャムはお土産に手頃なもの。軽井沢の有名パンと一緒に、食べ比べしてみてはいかがでしょう。

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