御影用水
HISTORY

【軽井沢・御影用水】ヨーロッパの運河ような水辺で散策を楽しむ

追分の静かな別荘地、広い川幅でゆっくりと流れる川があります。その水面には周囲の木々が映り込み、どこかヨーロッパ的な雰囲気を感じさせ、水辺の遊歩道では周辺の別荘やペンションの宿泊客が散策したり、愛犬との散歩を楽しんでいます。

御影用水

実はこの川、下流域の稲作用の灌漑水として整備された「御影用水」と言う用水路で、開削の歴史は江戸時代にまで遡るのです。現在もその役目は健在で、観光スポットとして有名な白糸の滝と千ヶ滝を水源としていて、軽井沢町、御代田町を横断し、小諸市南東部にある御影新田の広大な水田に水を供給しています。

御影用水の歴史

御影用水は、江戸時代に小諸市の東南に位置する御影新田の稲作のため、小諸藩の柏木小右衛門が私費を投じて開削した用水路です。完成当時は、全長約28kmの千ヶ滝用水(上堰)と全長約36kmの湯川用水(下堰)とからなっていました。

流域の浅間山麓は、浅間山の噴石や火山灰が堆積した土地であったため、途中での漏水が多く、それを防ぐために水路の底に綿埋めをする等、大変な難工事であったと伝わります。

その後、昭和30〜40年代に大規模な改修が行われ、現在は新たに掘削された水路と一部残った旧水路とからなる全長約21kmの用水路が、御影新田まで灌漑水を運んでいます。

御影新田(長野県小諸市)

御影用水の流域

千ヶ滝が水源の上堰と、白糸の滝下流の湯川が水源の下堰の2つが軽井沢町内を流れ、御代田町境の追分で合流しています。

御影用水の水源

上堰(うわせぎ)

上堰の取水口

千ヶ滝の下流にある里池から取水しています。 里池はセゾン美術館駐車場の北側にあり、その辺りには、御影用水五社宮が建立されています。

御影用水五社宮

下堰(したせぎ)

白糸の滝を源流に持つ「湯川」から取水しています。取水口は、千ヶ滝地区にあります。

下堰の途中にある御影用水温水路

御影用水温水路
軽井沢町追分を流れる「御影用水温水路」

御影用水の水源は浅間山麓の伏流水であるためとても冷たく、冷水による低温障害を防止する目的で昭和42年、軽井沢町追分付近に温水路が完成しました。延長約1km、幅20m、水深20cmの温水路は、水を浅くゆっくりと流すことで、その間に水温が約1.5度上昇するそうです。

温水路とその周辺は遊歩道などが整備されており、ヨーロッパの運河のような水辺で散策を楽しむなど、四季折々にその美しさを堪能することができます。

まとめ

下の写真は、フィンランドにある「サイマー運河」です。御影用水温水路は、まさにヨーロッパの風景が軽井沢で堪能できる場所なのです。

フィンランドの「サイマー運河」
フィンランドの「サイマー運河」 出典:Wikimedia Commons

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