万平ホテル
HISTORY PLAY

【万平ホテル】ジョン・レノンも愛した本格西洋ホテル

軽井沢を代表するホテルと言えば、多くの人が「万平ホテル」と答えるのではないでしょうか。その格式はもちろん、深い歴史が人々の心を捉えて離さないのだと思います。今回は、そんな「万平ホテル」の魅力に迫ってみたいと思います。

歴史:軽井沢で初めて誕生した西洋式ホテル

万平ホテル

まずは、万平ホテルの歴史から見ていきましょう。万平ホテルの起源を辿ると、明和元年(1764年)にさかのぼります。佐藤万右衛門が、旅籠「亀屋」を開業したのが始まりです。そんな旅籠亀屋に大きな転機が訪れたのは、明治19年のことでした。

明治17年にカナダ生まれの英国聖公会宣教師、アレクサンダー・クロフト・ショーが軽井沢を訪れ、その美しい自然と気候をたいそう気に入ります。翌年、再び彼は友人である帝国大学教師のディクソンとともに訪れ、ディクソンも軽井沢に魅了されるのです。

さらに翌年の明治19年にも訪軽。ショーは高林薫平という人物の居宅を借り、ディクソンは旅籠亀屋を経営していた佐藤万平(初代の万右衛門から数えて9代目)所有の家屋を借り受け、ひと夏を過ごすのでした。

その折、佐藤万平は外国人に対する接客や生活習慣を学び、以降、外国人客の接待に力を注ぐようになります。明治22年には、旅籠亀屋に外国人客16名が宿泊し、さらに翌年には離れの2階を改装して4部屋の客室を追加します。ちなみに明治20年には、一人娘の婿養子として国三郎を迎えています。この国三郎ものちに、万平ホテル発展のキーパーソンとなるのです。

明治27年、国三郎は聖アンドレ協会伝道師学校を卒業。ショーとともに各地への布教活動を務めたのち、軽井沢に戻ります。それを機に旅籠亀屋は欧米風のホテルに改装します。名前を「亀屋ホテル」と改め、新たなスタートを切るのでした。

万平ホテル ロビー
万平ホテルのロビー

明治29年、「亀屋ホテル」から「万平ホテル」へと改名。明治35年には、旧軽井沢銀座通りの郵便局あたりにあった建物を、現在の桜の沢に移転し、洋風建築の22室のホテルとして生まれ変わります。初代万平が大正7年に亡くなると、二人三脚で万平ホテルを盛り立ててきた国三郎が二代目万平を襲名。その後、日本館の移設増築や法人化、熱海万平ホテルをはじめとする複数ホテルの展開など、数多くの功績を果たします。

軽井沢万平ホテルは昭和19年にはドイツ人の疎開先となったり、昭和20年には米軍に接収されるなどの紆余曲折を経ますが、昭和27年に通常営業を再開。今日に至るまで三島由紀夫やジョン・レノンなどの著名人も数多く訪れ、定宿にもしていました。

メインダイニング:古き良き社交場の雰囲気に酔いしれる

メインダイニングの折上げ格天井

万平ホテルは、建築が好きな方にとっても魅力的な場所です。たとえば「メインダイニングルーム」は、内装、調度品などによって醸し出される優雅な雰囲気に包まれています。日本建築の古い建築様式で、寺院建築や書院造りなどで格式の高い部屋に用いる折上げ格天井や壁に掲げられた昭和の軽井沢と江戸時代の軽井沢宿を描いたステンドグラスは一見の価値あり。古き良き時代の社交場の面影を残す空間で舌鼓を打つなんて、とても贅沢な時間です。

昭和の軽井沢を描いたステンドグラス

モーニング:爽やかな朝の空気を感じながらブレックファスト

テラス席

メインダイニングルームでは、朝食も楽しめます。万平ホテルの「ブレックファスト」は、現在、以下のメニューとなっています。

「アメリカンブレックファスト」3,500円

  • ジュース/オレンジ、グレープフルーツ、リンゴ、もも
  • 卵料理/・ボイルドエッグ、フライドエッグ、スクランブルエッグ、プレーンオムレツ、ハム、ベーコン、ソーセージ
  • スモールサラダ
  • フルーツ入りヨーグルト
  • 3種類のブレッド&季節のジャム
  • コーヒーまたは紅茶

「サラダブレックファスト」3,500円

  • ジュース/オレンジ、グレープフルーツ、リンゴ、もも
  • コーンフレーク
  • ミックスサラダ

  • プレーンヨーグルト&はちみつ
  • 季節のフルーツ

  • トースト
  • 3種類のブレッド&季節のジャム
  • コーヒーまたは紅茶
  • 営業時間 7:30~9:30(季節により変動)
  • この他に、アラカルトメニューも豊富に用意されています。
  • メニューは季節ごとに変更
  • 上記料金にサービス料(10%)および消費税が別途加算

バー:ゆったりと流れる大人の時間に酔いしれる

万平ホテルで大人の時間を過ごしたいのなら、ぜひ「バー」に足を運んでください。その落ち着きある雰囲気は、きっと忘れられない思い出となることでしょう。おススメなのは、万平ホテル バーのオリジナルカクテル。見た目もネーミングも美しい一杯です。

万平ホテルオリジナルラベルウイスキー・ブランデー

  • MARS MALTAGE “COSMO” 越百(こすも) ショット 1,200円 ボトル 11,000
  • Mars Brandy ‘HOKEN’ 宝剣(ほうけん) ショット 2,000円 ボトル 17,000万平ホテルとの特別コラボレーションにより実現

オリジナルカクテル

霧の軽井沢

ウォッカをベースに、柑橘系のリキュールとレモン、ブルーキュラソーですっきり爽やかなカクテル(1,600円)

軽井沢の夕焼け

ジンをベースに杏、レモンを使い甘酸っぱくてどこか懐かしいカクテル(1,600円)

通年メニュー

  • カクテル各種 1,200円~
  • ウィスキー各種 1,000円~
  • ソフトドリンク600円~
  • 営業時間 18:00~23:00
  • 表記料金にサービス料(10%)および消費税が別途加算
  • 全席禁煙

ジョン・レノン:今もなお愛され続けるアルプス館128号室

多くの著名人が宿泊した万平ホテルですが、1970年代にはジョン・レノンが訪れていたことでも有名です。1970年に初めて宿泊し、1976年からはアルプス館の128号室に家族とともに滞在。軽井沢彫りの家具が置かれた落ち着きのあるクラシカルな雰囲気が、たいそうお気に入りだったそうです。ちなみにお客様がいないときは、部屋を見学をさせてくれるようです。

カフェテラスでは、いつもロイヤルミルクティーを飲んでいたジョン。実は当初、メニューにはなかったそうですが、ジョンがレシピを教え、それがやがて定番メニューとなったのだといいます。

万平ホテルの1階ロビー奥には資料館があります。その奥にピアノが置かれていますが、そのピアノもジョンのお気に入りで、何度も弾いたそうです。あまりに気に入ったため、ピアノを譲って欲しいといわれたというエピソードも残っています。

小野家別荘

ちなみにホテルの裏手、幸福の谷近くにオノ・ヨーコの別荘(小野家別荘)が今も残っています。ホテルの駐車場の隅に小道があり、そこから歩いていくことができます。手入れは行き届いていますが、現在は非公開のようです。

周辺散策:心に染み入る自然のやすらぎ、美しさを手にする悦び

万平ホテルの周辺は、緑が豊かで散策をするのにも打ってつけ。ゆっくりと歩きながら、当時の人々の暮らしに思いを馳せてはいかがでしょう。

幸福の谷(ハッピー・ヴァレー)

幸福の谷・ハッピーバレー 新緑

万平ホテルの裏に広がる別荘地は、案内板もなく、人の往来もほとんどありません。苔むした石垣と石畳の迷路のような道には、自然本来の美しさ、生命感が宿り、野鳥の声が心に染みわたっていきます。

堀辰雄の径(フーガの小径)

堀辰雄の径
堀辰雄の径

万平通りから南東に延びる道。かつて堀辰雄の別荘があったことから、このように名付けられています。彼が書いた小説「美しい村」に、近くのチェコスロバキア公使館別荘からバッハのフーガが聞こえてくるという描写があり、別名、フーガの小径ともいわれています。

室生犀星記念館

室生犀星の軽井沢別荘

室生犀星が昭和6年に建て、亡くなる昭和36年まで、毎年夏に過ごした別荘。それが現在、室生犀星記念館として一般公開されています。万平通りから横道に入ると「犀星の径」に出会います。室生犀星記念館の近くには「旧軽井沢Cafe 涼の音」というカフェがあり、小休止に立ち寄ってみるのもいいでしょう。

万平ホテル 周辺マップ

まとめ

万平ホテルは、ホテルそのものにも見どころがたくさんありますが、その周辺にも素敵な場所が点在しています。宿泊ができなくても訪れる価値は十分です。ぜひ足を運んでみてください。

Leave a Comment